ロフト
ロフト初めての企業広告。
雑貨店の先駆け「ロフト」が、創業30周年を前に初めて実施した企業広告。1980年代にサン・アドが担当していた西武百貨店(現そごう・西武)の仕事からの縁で、プロデューサー坂東美和子、アートディレクター葛西薫、コピーライター古居利康に指名をいただいた。それまで常に商品を通じて生活提案をしてきたロフトだが、これからは「モノ」だけで人は動かない。ロフト自体の使命やビジョンをもっと発信しなければブランド価値は伝わらない。時代の変化の中で、特に若いターゲットへ向けてブランドイメージを再構築したい。そんなクライアントの思いから、初の企業広告の試みがスタートした。
シンプルに「好き」を伝える。
ロフトとは何か。どうすれば「今」に伝えられるか。議論を重ねる中で「社員もお客様もシンプルに『好き』という思いでつながるお店が理想」という話が生まれ、そこに軸が決まった。「人を好きになるのも、この世界を好きになるのも、同じ『好き』なのでは」(コピーライター古居)という発想から生まれたコピーに、若者のリアルな「好き」の瞬間をとらえた写真。「ワンビジュアル・ワンメッセージはサン・アドの真骨頂」と坂東の語る通り、シンプルで力強い表現に着地した。実はそれまで商品広告を主体としてきたロフトにとって、「人物」を広告に使用するのは初めてのことだった。
広告の言葉が、企業ブランドの言葉へ。
展開2年目には、「『好き』という言葉を、インナーのモチベーション統一のキーワードとして使いたい」というクライアントからの要望があり、社員向けのポスターも制作した。スタッフひとりひとりが、流行や売上げよりも「好きだから」という感覚を大切にして商品やお客様と向き合う。そしてロフトという場所が「好き」の集合体となっていく。そんな企業としての志を社内で共有していくための旗印だ。初めての企業広告は、ロフトという企業ブランドの普遍的なアイデンティティを再確認し、それを今の時代へと変換し、さらに進化させていくきっかけとなった。