⼭崎蒸溜所⼤改修は4つの軸で⾏われた。お客様にウイスキーづくりを体感してもらう製造⼯程の⾒せ⽅再設計、⾒学後のテイスティングの舞台となる新ゲストルームやテイスティングラウンジ、蒸溜所を取り巻く⾃然環境や外構の整備、そして、ウイスキーの歴史と未来をつなげる⼭崎ウイスキー館のリニューアル。すべて⼀貫したディレクションのもとで形になった。

クライアント:
サントリー株式会社
サン・アド:
ECD+C:笠原千昌 / CD+C:古居利康 / AD+D:藤田佳子 / C:宍戸将 / D:吉岡友希・新島亜希・大山理恵子 / Pr:岸良真奈美・重長奈津美
サン・アド以外の方々:
建築監修・設計:小川博央建築都市設計事務所(小川博央・赤瀬玲央奈) / 設計・施工(PR棟):株式会社船場 / 設計・施工(ウイスキー館・製造エリア):株式会社乃村工藝社 / 施工:三和建設株式会社
説明:
蒸溜所敷地、門と植栽
蒸溜所入り口に銅製の門を新設。これは蒸溜釜の銅素材を再利用したもの。街からウイスキーの聖地へ導く結界とした。もともと敷地内にあった植栽をあらためて整え、“山崎の杜”と命名。“森”ではなく、あえて“杜”としたのは、自然と人の営みや文化が調和した神秘的な場であるという想いから。周辺エリアの島本町や大山崎町の山林地に生育する草木などを植栽し緑地化した。
説明:
山崎ウイスキー館
操業当時より残る数少ない建造物を利用した山崎ウイスキー館。歴史ある建物ならではの展示内容は、B1でウイスキーづくりの歴史、1Fで製造工程およびいま現在取り組んでいる革新的な原酒つくり込みをそれぞれ紹介する。鳥井信治郎から佐治敬三、そして現在のマスターブレンダー鳥井信吾まで100年脈々と続いてきた山崎蒸溜所の“SOUL”を継承と革新のストーリーとして見せつつ、ものづくりのファクトを伝える構成とした。
説明:
製造の現場とお客様の接点をデザイン
山崎蒸溜所は、1980年代から製造の現場の中にお客様を案内する見学を実施してきた。原料の大麦麦芽を仕込む際の匂い、発酵槽が発する熱、貯蔵庫の静寂、ひんやりした空気・・。今回の大改修では、お客様が五感でウイスキーづくりを体感できる仕組みをさらに追求。各工程の案内板もシンプルにリデザインし、館内のサインに蒸溜釜の銅を再利用するなど、ものづくりのこだわりに答える空間デザインを心がけた。
説明:
テイスティングラウンジ
数千種に及ぶ多彩な原酒ボトルの棚に三方を囲まれて、中央に配置されたバーカウンター。山崎蒸溜所で長年の役目を終えて引退した蒸溜釜をそのまま活用してつくった。シングルモルトウイスキー「山崎」ブランドをはじめ、サントリーウイスキーの各ブランドや稀少なニューポットなど、蒸溜所でしか味わえない原酒を用意。窓の外に広がる“杜”を眺めるローチェアなどを設置し、贅沢なテイスティングラウンジを設けた。
説明:
プレステージ/テイスティングルーム
「山崎蒸溜所ものづくりツアー」と名づけた見学ツアーのうちプレステージ版では、見学の最後に新ゲストルーム[The YAMAZAKI]へご案内。エレベーターを降りると廊下の床に窓外の光が反射し、ちょっと現実離れした空間へ誘う。まるで一幅の絵のように映る窓外の竹林を眺めながら、貯蔵樽を再生したカウンターやテーブルで稀少な原酒をテイスティングできる趣向。まさにプレミアムなウイスキー体験を演出した。
説明:
ギフトショップ
山崎蒸溜所大改修に先立つ2016年、ウイスキー館の一角にあるギフトショップのリニューアルを手がけた。空間デザインから什器設計、商品開発まで「山崎からの贈り物」というコンセプトで表現。名水の里として知られ、豊かな自然と湿潤な気候に恵まれた山崎の地。この場所だからこそ生まれるサントリーシングルモルトウイスキー「山崎」にふさわしいギフトショップとして、体感した空気まで持ち帰れるような体験の場にすること。そして良質な“山崎ファン”を育成していくこと。それをプロジェクトの目指すものとした。
説明:
ギフトショップ
看板や什器の一部にはウイスキーの蒸溜器ポットスチルを想起させる銅を採用。ウイスキーの熟成のように、年月とともに味わいを増していく素材だ。また事前にSHOP運営の方々への入念な取材を実施。商品補充がしやすいストック棚、ギフト包装のしやすい広いカウンター、作業効率が上がるように照明の照度を上げるなど、お客様をお待たせしない仕組みと働きやすい環境を、現場の意見を活かして実現した。
説明:
ギフトショップ
ショップの内装は、「継承と革新」というウイスキーづくりの考えを受け継ぎ、古いものを生かしながら、新しい世界観へとリニューアルした。「日本だけでなく世界中から来場されるお客様に少しでもご満足いただきたい」というサントリーの想いを基準に、商品構成の見直しも実施。山崎からの贈り物」として統一感あるブランドショップへと改善を加えた。
説明:
ギフトショップ
ショップの内装は、「継承と革新」というウイスキーづくりの考えを受け継ぎ、古いものを生かしながら、新しい世界観へとリニューアルした。「日本だけでなく世界中から来場されるお客様に少しでもご満足いただきたい」というサントリーの想いを基準に、商品構成の見直しも実施。山崎からの贈り物」として統一感あるブランドショップへと改善を加えた。