広告マーケティングを入り口に、そのときどきの現在と向き合いつづけてきた「宣伝会議」誌は創刊70周年を超える。マーケティングとは市場の動向であり、つまり時代と社会の複雑な変化から未来へつづく筋を見つける、という作業になる。ややもすれば人間を置き去りにして進んでゆくと見える現代の変化は、個人にどう降りかかるのか。どう立ち向かうのか。いつだって肝心なのは人間様だという当たり前にたえず立ち帰るべく、「人間回帰」を胸に、2021年から宣伝会議誌の表紙デザインを担当している。ビジュアルとしては、未来シンボルたる若者たちをけれん味なく正面からとらえ、期待とおののきを表現している。言葉は「表紙のつぶやき」として、季節や時事や特集テーマに沿ったコピーを表紙に入れる試みをしている。月刊誌ゆえ2ヶ月先の号を書くことになり想像力を試される。